解答を書くまでの手順「解答プロセス」の解説をします。
2次試験対策で大切なのは、この「解答プロセス」を育てることです。
「なんとなく解いても全く歯が立たなかった、解答を埋めたい」
2次試験対策に取り組み始めたばかりでは思うように解答が書けません。
まずは、それなりの解答を書くために「解答プロセス」をマネするところからです。
「解答プロセス」を構築する必要はありません。
誰かが構築した「解答プロセス」をマネし、そこからあなた用に修正していく方が効率的だからです。
「なんだか伸び悩んでいる、解答の質を上げたい」
「解答プロセス」がある程度身につき、過去問に慣れたころ誰もが伸び悩みます。
1次試験の合格者はこのレベルまでは到達するので、
合格する(上位20%に入る)には、この伸び悩みから脱出しなければなりません。
この伸び悩みからの脱出が2次試験突破の鍵になります。
伸び悩みから脱出するには「解答プロセス」を見直す必要があります。
「解答プロセス」の各ステップにひも付けて課題を洗い出し、課題をひとつひとつ克服したり、
プロセスを簡略化して余裕時間を確保したりできると、解答の質が向上するからです。
「育ててきた解答プロセスで、粛々と設問に対応するだけ」
試験本番では、これまでに育てた「解答プロセス」での戦いです。
このように、2次試験対策は「解答プロセス」を中心に進めることが大切です。
今回は「解答プロセスの具体的な手順」と「解答プロセス見直しのポイント」を解説します。
解答プロセス
解答プロセスは、以下のようになります。
- 設問解釈(10分):設問の意図をとらえる
- 与件整理(40分):与件の情報を拾って整理する
- 解答記述(20分):整理した情報を記述する
10分は余裕時間として確保します。
では、各ステップを順番に解説します。
設問解釈(10分):設問の意図をとらえる
まず、設問文を読んで解答の方向性を決めます。
具体的には、設問文を読んで「制約条件の確認」と「与件から情報を拾う準備」をします。
制約条件とは、解答を制約する条件です。
たとえば、設問文で指定されている「〇〇の観点で述べよ」や「〇〇以外で」などの条件です。
この制約条件から外れると、評価が低くなるので注意が必要です。
次に、与件から情報を効率良く拾うために、「解答の切り口」を作成します。
「解答の切り口」とは、与件から拾ったキーワードをメモして、整理するための枠です。
また、この「解答の切り口」は単なるメモ用の枠だけでなく、解答文章の下書きにもなります。
たとえば、ひとつ例をあげてみましょう。
C 社の既存製品の販売数量は減少傾向にあり、さらに既存顧客から製品単価の引き下げ要求がある。それを克服して収益性を高めるには、あなたは中小企業診断士としてどのような方法を提案するか、Y 社との新規取引以外で、C 社にとって実現性の高い提案を 140 字以内で述べよ。
H24 事例3 第4問
この設問の重要な制約条件は、「Y社との新規取引以外」です。
制約条件を無視して、Y社との新規取引で売上増を図る提案をしても評価されません。
また、「解答の切り口」は以下のようなものが考えられます。
行動(提案) | 影響 | 結果(収益性UP) |
売上UP | ||
費用DOWN |
与件整理(40分):与件の情報を拾って整理する
次に、前のステップで作成した「解答の切り口」を埋めるために与件文からキーワードを拾います。
この試験はアイデア勝負ではなく、与件文に基づいた解答が求められるからです。
与件文からキーワードを拾って、次のようにメモします。
なお、「結果」の「売上UPと費用DOWN」は与件の情報から「QCD」に修正しています。
このように、与件の情報により切り口を修正することもあります。
(この「切り口の修正」の詳細は、記事した「関連記事」の「設問解釈」で解説していますのでご覧下さい)
行動(提案) | 影響 | 結果(QCD、収益性UP) |
製品ニーズをもとに企画、製造 | 顧客ニーズに対応 | Q:高付加価値製品の販売 |
生産計画の頻度を増やす | 需要予測精度を高める | C:原材料費の削減 |
設備の洗浄作業の標準化 | 生産リードタイムの短縮 | D(C):人件費の削減 |
解答記述(20分):整理した情報を記述する
与件文から拾ってきたキーワードをもとに、解答の文章を書きます。
解答の文章で大切なことは、キーワード同士の因果関係が明確になっていることです。
「解答の切り口」で左から右にかけて「原因と結果」の関係になるように整理しておくと、因果関係が明確になり、解答文章が機械的に書けるのでオススメです。
すべての設問を並行して、各ステップを進める
説明のためにひとつの設問を見てきましたが、実際はすべての設問を並行して「設問解釈」、「与件整理」、「解答記述」を順に進めてください。
以下のメリットがあるからです。
- 設問解釈:設問間の一貫性を意識し、他の設問をヒントにできる
- 与件整理:キーワードをどの設問に使うのがいいかを比較できる
- 解答記述:時間管理しやすい
「解答プロセス」の全体像はつかめたでしょうか?
各ステップを深堀した記事は記事下「関連記事」にあるので、ぜひご覧ください。
次は、「解答プロセス」を見直す方法を紹介します。
解答プロセス見直しのポイント
「なんだか伸び悩んでいて、解答の質を上げたい」
このようにお悩みの方、多いと思います。
2次試験対策では、「55点あたりでの伸び悩みをどうやって突破するか?」が鍵です。
この伸び悩みから脱出する(上位20%に入る)には、「解答プロセス」を見直す必要があります。
なぜなら、「解答プロセス」の各ステップにひも付けて課題を洗い出し、課題をひとつひとつ克服したり、
プロセスを簡略化して余裕時間を確保したりできると、解答の質が向上するからです。
以下のポイントを抑えながら、「解答プロセス」の見直しに取り組んでみてください。
- 各ステップにひも付けて課題を洗い出し、ひとつひとつ課題を克服する
- プロセスを簡略化し、時間を確保する
- いろんな事例で使えるか検証する
では、それぞれの項目について解説していきます。
各ステップにひも付けて課題を洗い出し、ひとつひとつ課題を克服する
過去問を解いたら、解答に至ったプロセスを振り返りましょう。
なぜなら、解答の良し悪しだけを振り返っても学習の効果があまりないからです。
過去問を解いて振り返った反省点は、きちんと手順に落とし込んでください。
「なぜ失敗したのか?」
「どうしたら失敗しないのか?」
「具体的にどう手順に落とし込んだらよいか?」
成長するために、解答プロセスを育てることに焦点をあててください。
課題を明確にするために過去問を解く
過去問を解いて、解答欄を埋める作業を続けても成長できません。
いっそ確信をもてるところだけ解答に書いた方が課題が明確になります。
また、過去問集の解説と解答に至ったプロセスを比較するのも有効です。
独学で学習していると視野が狭くなりがちだからです。
過去問集の解説から「その発想なかった」を取り入れてください。
課題ごとに集中して克服
学習する際は、どの課題をクリアするか目的を明確にしてください。
例えば
「大事故を避けるために、設問文のどこを注意すれば良いか分析する」
「事例4の記述をコンパクトにまとめる方法をマスターする」など
以下は、課題ごとに集中して取り組むメリットです。
- 成長を実感できてモチベーションが上がる
- 短時間で取り組める
- 深い気づきが得られる
社会人で忙しい方は、事例を解いて振り返る時間(2から3時間)の確保は難しいと思います。
個別の課題に絞って過去問や模範解答を分析したり、練習したりを学習に取り入れてみてください。
プロセスを簡略化し、時間を確保する
時間の余裕は解答の質に直結します。
10分余裕が持てた状態を想像してみてください。
「あと10分あれば、キーワードの1個か2個は拾えたはず」
「あと10分あれば、解答を推敲できる」
時間の余裕をつくるために、余計な手順は削りましょう。
「余計な手順」には、以下のようなものがあります。
- みんながやっているから、なんとなくやっている手順
- 何のためにやっているか説明できない手順
- 完璧を求めすぎている手順
「何のためにしているか」を考えてください。
形だけ真似てもダメです。
何のためにしているかを考えた結果、何のためにやっているか説明できなければ、その手順は削ってもOKです。
また、完璧を求めすぎると時間が足らなくなります。
後のステップで修正可能ならば、多少は雑になっても大丈夫です。
いろんな事例で使えるか検証する
「解答プロセス」に汎用性がなければ本番では役に立ちません。
特定の過去問に対してだけ立派な解答が作れる「解答プロセス」になっていないか注意しましょう。
いろんな事例にも使えるか検証する際は、”縦解き”が有効です。
縦解きとは、同じ科目に絞って解いていく学習方法を指します。
科目ごとに問われる論点や出題の傾向が異なるので、「解答プロセス」の検証には縦解きが有効です。
目安として3から5年分の過去問を繰り返してください。
解答プロセスまとめ
- 設問解釈(10分):設問の意図をとらえる
- 与件整理(40分):与件の情報を拾って整理する
- 解答記述(20分):整理した情報を記述する
10分は余裕時間として確保します。
- 設問解釈:設問間の一貫性を意識し、他の設問をヒントにできる
- 与件整理:キーワードをどの設問に使うのがいいかを比較できる
- 解答記述:時間管理しやすい
- 各ステップにひも付けて課題を洗い出し、ひとつひとつ課題を克服する
- プロセスを簡略化し、時間を確保する
- いろんな事例で使えるか検証する
- 成長を実感できてモチベーションが上がる
- 短時間で取り組める
- 深い気づきが得られる
- みんながやっているから、なんとなくやっている手順
- 何のためにやっているか説明できない手順
- 完璧を求めすぎている手順
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各ステップを掘り下げる
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