この記事では、中小企業診断士試験の2次試験向けに「事例2:マーケティング、販売管理」の傾向と対策を解説します。解答の切り口や知識整理にご活用ください。
事例2:マーケティング、販売管理の出題傾向
事例2の特徴は、イメージしやすく取り組みやすいことです。
機会(ターゲット)と「独自の強み」を中心にとらえ、設問間の関連性・一貫性を意識してください。
- 設問間の関連性・一貫性を意識する
- 独自の強みを活かした課題解決策を提案する
- ターゲットの選定を間違えない
素直な設問が多く設問の意図を捉えやすい科目なので、この科目で2次試験の解法に慣れることをおすすめします。
事例2の対策
環境分析が苦手
「他の事例にくらべ「機会」や「強み」などの環境分析に関連する情報が多いので、環境分析の「切り口」の整理が苦手」
他の設問をヒントに「環境分析」の切り口を整理するテクニックが有効になります。
たとえば、「強み」の切り口に迷ったら、先に「機会(ターゲット)」にあたりをつけて、それぞれのターゲットに刺さるように「強み」を整理します。
他の設問との関連性・一貫性を意識すると取り組みやすくなります。
施策を提案する問題が苦手
「解答欄を埋めるのは楽だけど、点数に繋がらない」
事例2は、イメージが湧きやすいこその罠があります。
この試験は、アイデア勝負ではなく、与件の情報をどう整理するかが問われています。
イメージしやすいからと、与件の情報を使わずに提案しても点数になりません。
そこで、与件にある情報しか使わない(施策の根拠は与件のどこにあるか)を意識してください。
事例2:マーケティングの知識整理
ここからは、2次試験に必要な論点を整理しています。
解答の切り口や知識整理にご活用ください。
集中差別化戦略
2次試験では経営資源の乏しい企業が対象なので集中差別化戦略一択です。
集中差別化戦略とは、独自の強みを活かせる商品で、顧客の個別ニーズに対応する戦略です。
商品
強みを活かした独自性のある商品を提供すること
企画、品揃え
強みを活かせる商品に資源を集中する
商品価値の向上
- 加工:顧客にあったブレンド、アレンジ
- コーディネイト:消費者に代わって商品を選ぶ
- サービス:宅配、アフターフォロー
- 情報発信:商品の利用方法を提案
- 体験:教室、ツアー
市場(機会)
- 顧客関係性を活かしたニーズの収集と対応
- セグメントを絞り込み、大手との競争回避と個別対応による顧客満足度向上を図る
競争優位性
- 密着軸:顧客関係性を活かしてニーズに細かく対応していく
- 製品軸:商品サービスの利便性や付加価値が高いこと
顧客ごとに商品に対する利便性や付加価値の評価は異なるので、まずメインターゲット(既存顧客)から評価されている点を中心に考えます。
プロモーション
プロモーションでは次の3つの切り口を意識してください。
「誰に(ターゲット)、どうやって(メディア)、何を(コンテンツ)伝えるか」
ターゲット:既存顧客
- 目的:ロイヤリティの向上、来店頻度の向上
- メディア:顧客の情報源や既存のメディアを利用する
- コンテンツ:継続的接触(変化するものを定期的に紹介する)
ターゲット:見込み、新規顧客
- 目的:認知度の向上、集客
- メディア:人的販売(ニーズの収集、ブランドの訴求)や既存のメディアを利用する
- コンテンツ:顧客の興味、課題、商品(強み)を紹介する
売上増加
客数
既存顧客
顧客との関係を活かし、長期にわたる利益を追求するためのマーケティング活動が重要になります。
一般的に、新規獲得と比較し既存顧客の維持の方がコストが低い(1/5程度)ことや、プロモショーンにお金をかけにくいため、新規獲得より既存維持を優先します。
既存顧客の維持施策
- 顧客対応(コミュニケーション、継続的接触)により関係性を強化し、来店頻度を増やす。
- ポイントカードにより、顧客を囲い込み、来店頻度を増やす。
- 顧客維持に必要な情報(ニーズなど)を顧客管理システム(CRM)で管理する。
新規顧客
新規顧客開拓の施策
- プロモーションにより認知度を向上し、集客を図る
- 販路開拓、販売促進により商圏の拡大を図る
新規顧客の獲得はコストがかかることや新しい取組になるためリスクが大きくなります。
ある程度儲かっているなら積極的にしたいものではありません(儲かっている方に集中すべき)。
したがって、新規市場の開拓は既存事業の低迷(低迷の原因をコントロールできない)とセットで出題されやすいです。
客単価
安売りは大手の戦略です。顧客ニーズに適合した高付加価値化を目指しましょう。
セット販売(商品の提案)で顧客満足度と客単価の向上を図るのが鉄板です。
その他の論点
新規事業
既存の強みと経営資源を活かし、新需要を取り込む方向で検討します。
他企業との協業、余剰資源や地域資源の活用が出題されやすいです。
インターナルマーケティング
マーケティングの技術を社内に応用することで、従業員満足度を向上させる活動
- 権限移譲により参画意識を高め、モチベーションの向上を図る
- 評価制度の導入、改善
- 能力開発
サービスマーケティング
サービスの特性に対応したマーケティング
- 無形成:サービスの可視化
- 非均一性:マニュアルの整備、教育訓練、機械化
- 非貯蔵性:補完的なサービスの提供、パートタイムの利用、セルフサービスの利用
事例2のまとめ
-
機会(ターゲット)と「独自の強み」を中心にとらえ、設問間の関連性・一貫性を意識する
事例2のポイント- 設問間の関連性・一貫性を意識する
- 独自の強みを活かした課題解決策を提案する
- ターゲットの選定を間違えない
- 環境分析では、他の設問をヒントに切り口を整理する。
- 施策を提案する問題は、施策の根拠は与件のどこにあるかを確認する。
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解答手法は、事例1から事例3までは共通です。詳しい内容はこちらをご覧ください。
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