この記事では、中小企業診断士試験の2次試験向けに、「事例3:生産管理」の傾向と対策を解説します。
解答の切り口や知識整理にご活用ください。

事例3:生産管理の出題傾向

事例3の特徴は、出題パターンはほぼ固定されているものの、与件文から拾えるキーワードが多いため整理が大変なことです。

与件からキーワードを拾いやすいぶん、キーワードの因果関係を整理できないと支離滅裂な解答になりやすいので注意してください。

論点やキーワードの整理方法の詳細は、記事下の関連記事「【与件整理】与件文の情報を拾って整理する!」をご覧ください。

出題パターン
  • 強みの分析
  • 問題点(課題の背景)と課題、課題解決策の分析・提案
  • 今後の経営方針

素直な設問が多く、設問の意図を捉えやすい科目なので、この科目で2次試験の解法に慣れることをオススメします。

事例3:生産管理の対策

論点とキーワードの整理

「施策が思いつかない」
その理由は、施策を打つ根拠になる「課題の整理」がおろそかだからです。
この試験はアイデアを競うものではなく、与件の情報整理が求められます
以下の流れを意識してください

「課題の背景」→「課題の整理」→「課題解決策の提言と期待される効果」

また、「期待される効果」のところで「QCDがいい感じになる」と着地させるのがコツです。

設問のレベル感を意識する

設問のレベル感として、以下の3レベルを意識してください。

  • 経営戦略レベル
  • 管理レベル
  • 現場レベル

「今後の経営方針」で経営戦略レベルの観点が問われることがあり、管理レベル、現場レベルで解答すると、とりこぼしが発生するので注意が必要です。

設問のレベル感を意識してください。

事例3:生産管理の知識整理

2次試験に必要な論点を整理しています。
解答の切り口や知識整理にご活用ください。

生産管理

品質管理(Q)

設計品質
  • 営業との連携により、顧客ニーズへの対応力強化を図る
  • 設計の見直しにより、材料を標準化し、安定した品質や管理の容易化を図る

原価管理(C)

材料費
  • 製造原価の把握、仕入先の見直し、材料の標準化により、材料原価を低減する
  • 設計の見直しにより、歩留を改善する
自社加工費
  • 生産工程の見直しにより、加工工数を減らし、労務費(人件費)を減らす。
  • 生産リードタイムの短縮、機械化、多能工化により労務費(人件費)を減らす。
外注費

下記、外注管理を参照

在庫の維持コスト

下記、在庫管理を参照

納期・進捗管理(D)

  • 全体の進捗を管理し、ボトルネック工程を発見、改善する。
  • 販売状況、在庫状況を加味した生産計画により、ロットサイズ、段取り時間の最適化を図る
  • 内段取りと外段取りの分離により生産リードタイムを短縮する

生産現場

注文方式と生産方式

見込み生産(少品種多量)なら連続生産
  • 需要変動への対応:需要予測、生産計画更新スパンの短縮、生産リードタイム短縮
BTOならロット生産
  • メニュー化により生産の混乱を回避する
受注生産(多品種少量)なら個別生産かセル生産
  • 納期順守:進捗管理、リードタイムの短縮、受注量の平準化

対象企業の規模を考えると、受注生産への対応が重要な論点になります。

在庫管理

仕掛品、製品在庫をある程度保有すること

  • メリット:需要変動への対応
  • デメリット:運転資金の圧迫、維持コストの増加、製品の陳腐化

過剰在庫や欠品の対策

  • 営業との情報共有や在庫状況を把握し、生産計画の修正、更新やロットサイズの最適化を図る

購買管理

購買管理

  • 仕入先の見直しによるコスト削減を図る
  • 資材の標準化により、集中購買、最適在庫量の低減、資材点数の低減し、コスト削減を図る

外注管理

外注の利用
  • メリット:経営資源の集中
  • デメリット:情報流出(対策:秘密保持契約を結ぶこと)
品質維持
  • 品質基準とチェック体制を設けること
  • 教育訓練を実施する
納期管理
  • 進捗状況の共有からのリカバリ案の協議
OEM
  • メリット:販売コストの低減
  • デメリット:顧客対応の遅れ、打ち切りリスク、技術流出

事例3:生産管理のまとめ

  • 出題パターンはほぼ固定されているものの、与件文から拾えるキーワードが多いため整理が大切
出題パターン
  • 強みの分析
  • 問題点(課題の背景)と課題、課題解決策の分析・提案
  • 今後の経営方針
  • 施策を打つ根拠になる「課題の整理」をおろそかにしないこと
  • 設問のレベル感を意識すること

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知識整理

各科目の頻出論点を下の記事で紹介していますので、ぜひご覧ください。

解答プロセスの全体像

解答手法は、事例1から事例3までは共通です。詳しい内容はこちらをご覧ください。

論点とキーワードの整理

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