この記事では、中小企業診断士試験の2次試験向けに、「事例4:財務」の傾向と対策を解説します。
知識整理にご活用ください。
事例4:財務の出題傾向
この科目では、経営分析や管理会計、ファイナンスなどの財務会計について出題されます。
以下がこの科目の特徴です。
- 経営分析と管理会計では、毎年同じような問題が出題されます。
- 部分点がたくさんもらえます。
- 初見では解けないような応用問題が出題されます。
- 計算問題が中心です。
応用問題はわかるとこまで書いておけば部分点が多めにもらえるので、
毎年出題される基本問題さえできれば、合格点に達しやすい科目です。
試験本番では4科目目なので、体力や集中力ともに限界に近い状態になることが想定されます。
計算問題が単純作業になるまでやり込みましょう。
事例4:財務の対策(知識整理)
事例1から事例3まではと異なり、計算問題が中心になります。
また、最終的な計算結果だけで採点されないので、計算過程も丁寧に記述し、部分点を取りに行きましょう。
経営分析
決算書が読めるかどうか試されます。決算書と与件文の対応づけができればOKです。
切り口は「安全性」「収益性」「効率性」です。
安全性
短期的な方から優先的に見ていきます。
短期:短期的な資金繰りが安定しているか
- 流動比率(100%以上)
- 当座比率(80%以上)
中期:固定資産に対する投資を、返済が不要な自己資本でどの程度まかなっているか
- 固定比率 = 固定資産 / 自己資本
- 固定長期適合率 = 固定資産 / (自己資本 + 固定負債)
長期:会社の資本力や経営は安全しているか
- 負債比率 = 負債 / 純資産
- 自己資本比率(50%以上) = 自己資本 / 総資本
収益性
売上高に対してどの費用が大きいか
- 売上高総利益率:売上原価が大きいと低い値になる
- 売上高営業利益率:販管費が大きいと低い値になる
- 売上高経常利益率:営業外費用が大きいと低い値になる
効率性
売上高に対して過剰な資産がないか
- 売上債権回転率
- 棚卸資産回転率
- 有形固定資産回転率
管理会計
損益分岐点
限界利益(売上 ー 変動費)が固定費を賄えていれば利益が出る。
限界利益 = 固定費(つまり利益0)となっているときの売上高が損益分岐点売上高。
出題される論点は、ここから派生します。
- 目標達成点売上高:固定費に目標利益を盛ればOK
- 損益分岐点比率:損益分岐点 / 売上高
- 安全余裕率:1− 損益分岐点比率
営業レバレッジ
売上高の増減に伴う利益の増減(変動リスク) = 営業利益の増減額/売上高の増減額
固定費が大きくなるほど、売上高の増減に伴う利益の変動リスクが大きくなる。
製品ミックス
限界利益率の高い製品を優先して生産し、早期に固定費を回収する
まとめ・頻出分野の計算問題をやりこめ!
- 毎年出題される基本問題さえできれば、合格点に達しやすい
- 部分点が多めにもらえるので、計算過程も丁寧に記述すること
- 計算問題が単純作業になるまでやり込むこと
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